こんにちは、Gallery Storeです!
突然ですが、皆さんはこの『黒き猫』をご存じでしょうか?
菱田春草:『絹本著色黒き猫図』(1910)
出典:国指定文化財等データベース(https://www.mext.go.jp/)
黒猫のフワフワした毛の質感がなんとも印象的な作品ですが、これは明治期日本画における巨匠のひとりである、菱田春草先生が描いた作品です。
菱田 春草(ひしだ しゅんそう、1874-1911)
彼は37年の若さで早世してしまいましたが、当時の日本画界において、間違いなく革新をもたらした一人と言えるでしょう。
そんな菱田春草の残した『黒き猫』の魅力について、本記事で紹介していきます。
「朦朧体」とは?
「朦朧体」とは、岡倉天心に仕えた弟子である、菱田春草と横山大観らが確立させた日本画の新たな技法です。
本来日本画は、その描画において主線(輪郭線)を重んじる特徴があり、それが伝統として受け継がれてきました。
しかし、菱田春草と横山大観らは、実験的に主線を排した画法の追及を行いました。
こちらが「朦朧体」を用いた代表的な作品です。
菱田春草:『秋景(渓山紅葉)』(1899)
出典:Google Arts & Culture(https://artsandculture.google.com/asset/autumn-landscape-hishida-shuns%C3%B4/cgHx68IjnLfPkA?hl=ja)
ぼやけた筆致によって、空間の持つ空気感が、当事者的なリアリティとして伝わってくる……そんな印象を受ける作品です。
しかし、この「朦朧体」は理解を得られず、世間の非難を浴びました。
ここにおける「朦朧」とは、あいまいな様子の絵を揶揄したことに由来するそうです。
『黒き猫』の魅力に迫る
先述した「朦朧体」にて、この『黒き猫』こと『絹本著色黒き猫図』は、1910年に制作された作品です。
「朦朧体」の特徴であるあいまいな筆致によって、猫の毛並みのフワフワ感が非常に高いクオリティで表現されていることがわかりますね!まるで生きているかのような印象です。
また猫が座っている木や、背景に描かれている葉との質感の対比にも注目してみるのも面白いです。なんだか毛並みのフワフワ感がより際立って見えてくるのではないでしょうか。
菱田春草は、この他にも多くの猫を描いているので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
『黒き猫』はどこで見れる?
菱田春草の『黒き猫』は現在、東京都文京区の「永青文庫」という美術館に所蔵されています。
残念ながら修理のため、執筆時点の2024年12月では、公開展示はされていません。
ですが、修理の完成記念に「永青文庫 近代日本画の粋―あの猫が帰って来る!―(仮)」という展覧会が2025年10月に開催されるようです!
来年にはなってしまいますが、『黒き猫』を実際に見てみたい方は是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
以下が、開催の概要です。
開催概要
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開催場所
「永青文庫」
〒112-0015 東京都文京区目白台1-1-1
TEL:03-3941-0850
【交通のご案内】
・JR目白駅(「目白駅前」バス停)・副都心線雑司が谷駅出口3(「鬼子母神前」バス停)より、
・都営バス「白61 新宿駅西口」行きにて「目白台三丁目」下車徒歩5分。
・都電荒川線早稲田駅より徒歩10分。
・有楽町線江戸川橋駅(出口1a)より徒歩15分。
・東西線早稲田駅(出口3a)より徒歩15分。
※一般車両用駐車場はございません。周辺の有料駐車場をご利用ください。
- 公式HP
https://www.eiseibunko.com/exhibition.html -
期間
2025年10/4(土)~11/30(日)
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
月曜休館
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観覧料金
一般:1000円
シニア(70歳以上):800円
大学・高校生:500円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料
Gallery Storeの『黒き猫』グッズを紹介
Gallery Storeでは、この記事でご紹介した菱田春草の『黒き猫』のグッズを取り扱っています!
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また、Gallery Storeは、他にも美術品のグッズを多数販売しているのでチェックしてみてください!
また別の作品についてもご紹介できればと思います。
次回もお楽しみに!